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発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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大学生の発達障害

こちらのページでは、大学生の発達障害者が示す特徴と対応方法を解説していきます。なお当社の大学生・専門学校生向けの支援プログラム「ガクプロ」についてはこちらをご覧ください。

大学生への対応ポイント

  • 自由度の高い生活の中で、頼れる人をみつけておく
  • アルバイトも就活も事前の準備が大切
  • 大学生になっても学習・就活・生活など全ての面でサポートを

univ_university発達障害*のお子様が大学に進学するのは決して珍しい例ではなく、むしろ多数派になりつつあります。興味のあることを一途に追い求める性質のある発達障害の人は、好きな学問の道に進むことができると新たに活躍の場を得ることができるでしょう。一方で、大学は高校までとは異なり自由度が高く自主性が求められる活動がそのほとんどを占めます。授業の選択から友人作りまで、全て自分で乗り越えていかなければなりません。状況判断が苦手な発達障害のある学生は、履修登録などから躓いてしまい進級や卒業が難しくなることがあります。無事に卒業をするためには、お子様自身が自分の特性を理解したうえで、支援を求められる相手をみつけておくことが不可欠です。

そして、卒業後の進路を具体的に考えながらそれを叶えるための活動をしなければならない時期です。就職活動はエントリーシートの作成や面接など、普段の生活では行わない複雑な取り組みが求められます。発達障害のある学生にとって、就職活動をひとりで進めていくことは難しいため、早いうちから大学の就職課などの窓口を適切に利用していけるとよいでしょう。

TEENSは原則18歳までのサービスとなりますので大学進学以降は利用ができなくなります。(TEENSに限らず、現在の日本の福祉サービスは、障害児・者が大学など高等教育に進むことを予想していない設計になっているため福祉サービス全般の利用ができにくくなる時期です。)当社ではこのため、福祉サービスではない独自事業として発達障害(含・疑い)のある大学生・院生や専門学校生向けにガクプロというプログラムを実施しています。学習・生活面で学生生活を支援しながら、最終学年を中心に就職活動支援を行っています。

大学受験の際に診断・特性について伝えるべきでしょうか。

今の大学入試はペーパー試験による入試だけではなく、面接などが組み合わされた選考方式が増えています。このような場合は、お子様の人となり・個性を面談の場などで伝えるかどうか悩まれることも多いと思います。日本でも近年、障害者への合理的配慮が法制化されて、大学では障害があるから入学を拒否したり、障害に対して合理的な範囲で配慮をすることが義務付けられました。このため表向きには診断や特性を告げることで入試に不利に働くはずはありません。

しかし現実問題として、発達障害について受け入れを積極的にしていると公にしている大学は数えるほどしかありません。入学してから、あるいは合格が決まった後に、下記の窓口に相談をし始めることが良いと思います。

大学に進学予定です。大学内では悩みを相談したい場合は、どういった窓口が利用できるのでしょうか。

基本的には以下のような窓口が利用できます。また発達障害のある学生に向けたサポート室を設置している大学も増えてきています。

  • 学生相談室:大学職員が生活や学業などの悩み相談にのってくれる
  • 保健管理センター:臨床心理士が心身の悩みについて相談にのってくれる
  • 就職課(キャリアセンター):就活および資格取得などの悩み相談にのってくれる
  • 学生課:単位の取り方など大学生活や授業の悩み相談にのってくれる
  • アルバイトをしてもトラブルを起こしいつも短期間でクビになってしまいます。どうしたらよいでしょうか。

大学生になりあまり親が世話を焼くのもよくないかと思っていますが、本人任せにすると単位が取れない可能性が高いです。どうしたらよいでしょうか。

univ_parent大学生になったからといって、急に成長するわけではありません。お子様が常に努力をしていても、方向性を間違ってしまいかえって状況が悪くなってしまうことがあります。お子様自身が反抗期に入り干渉しずらい時期にさしかかる頃かとは思いますが、勉強面・生活面ともにできる限りサポートをしていきましょう。

その際には、「代わりにやってあげる」のではなく「援助要請の方法を教える」ことに重きを置くとよいでしょう。どの分野の悩みを、誰にどのようにして相談すべきかを教えてあげることが大切です。自立的に解決できるための筋道をアドバイスしてあげることが将来に必ず繋がっていきます。

併せて、話をよく聞いて本人の状況を把握しておきましょう。履修登録が済んでいない・単位が取れていない、といった状況でも発達障害のある学生にはその弊害がイメージしずらく、困った状況にいることすら自覚できていない場合があります。本人任せにせずに、お子様がどのような部分で躓いているかを常に気にかけてあげてください。

中高までは成績が良かったのですが、大学に入ってからは単位を落としてばかりです。何故でしょうか。

専門的な授業が多くなり、学業が楽しくなる人もいる一方で、小中高との学習スタイルの変化についていけなくなる人も少なくありません。大学に進学する前までの学習は基本的に暗記中心となります。しかし、大学では必要な情報を身につけたうえでレポートを作成したり討論をしなければならず、応用力が求められます。正解が見えずらい内容になるため、発達障害のある学生にとっては難しく躓きやすいのです。

期限内に課題を終わらせることも大きなハードルとなります。高校生までは課題が終わっていなければ先生から催促をされますが、大学の課題は出さなければそれで終わってしまいます。また、掲示板を見ながら自分で提出期限を確認したり、友人・知人とコミュニケーションをとりながら授業に関する情報を得ていくことが苦手な発達障害のある学生にとっては大きなハードルとなります。

こうならないために、必要な支援が受けられるよう学内の相談窓口を利用したり、保護者の方がサポートをしていけるとよいでしょう。

大学生に進学後息子が不真面目になってしまいました。ゲームなどの趣味に没頭してしまい、大学へはほとんど行っていない状況です。どのように対応すればよいでしょうか。

先にお伝えしておきたいのは、多くの場合は不真面目な故にそのような状態になってしまっているのではないということを理解してあげてください。発達障害の方は定型発達の方よりも生活リズムを崩しやすい傾向があります。今回の場合は以下のような原因と対応方法が考えられるため、参考にしてください。

原因 対応方法
ゲーム自体に過集中になり、授業の予定を忘れてしまう。
  • 完全にゲームを禁止するのはNG。かえってゲームに対して執着してしまったり、不安定になることがあるため。
  • まずはゲームを活かしたサークル活動に促すなど、外の世界に興味を広げられるようにする。
  • ひとり暮らしの場合はこまめに電話をするなどしながら学校に行くように促す。
大学自体の居心地が悪く、引きこもりがちになっている。
  • まずは興味のある授業を探したり、同じ趣味をもつ人のサークル活動に参加する。
  • 大学以外の活動の場(アルバイト・習い事 など)を見つける。他の居場所で人と繋がれることで自信をもち、大学にも通えるようになることがある。
昼夜が逆転してしまい、授業に通うことができなくなっている。
  • 昼夜逆転は自力で立て直すのは難しいため、必ず周囲の人間こまめに連絡するなどサポートをする。
  • 日中に本人の好む内容の外出の約束をするなどして、少しずつ朝型の生活に戻していく。

アルバイトをしてもトラブルを起こしいつも短期間でクビになってしまいます。どうしたらよいでしょうか。

大学生になり周囲の人の多くがアルバイトを始めます。定型発達の人の場合はお客さんとしてお店に訪れたり、他の人が働いている様子を見ているなかで、仕事中の振る舞い方を何となくにでも学んでいくことができますが、発達障害の人にとってそれはとても難しいことです。

まず、発達障害の人は口頭指示に従って行動することを苦手としています。初めての仕事がマニュアルが整備されているような職種をおすすめします。

また、ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)の方は接客業を苦手とする場合が多いです。これは、にこやかな表情を作ることや、「お客さんの気持ちになって」行動することが難しいためです。そのため、事務作業などの正確さが求められるようなお仕事がおすすめです。

一方でLD(学習障害)の方は書字や数字の処理を求められるような事務作業を苦手とします。接客業であれば、コーヒーショップのような扱っている品目が少ないお店や、全自動のレジスターを導入しているお店が勧めです。ティッシュ配りやポスティングのようなお仕事も比較的取り組みやすいでしょう。

卒業後就労するにあたりアルバイトの経験は非常に貴重なものとなります。しかし、失敗体験として終わってしまうとその後の就労意欲すらも削いでしまう危険性が高いのです。大きな失敗に繋がらないよう就業にあたっての知識とスキルを事前に学ぶ機会を設け、特性に合った職種を見つけられるとよいでしょう。

自立して生活をしていくようになり、怪しげな勧誘に騙されてしまいそうになったことがありました。どうしたらよいでしょうか。

発達障害の人は根が真面目で素直な方が多いです。それは長所として発揮されるべき特性ですが、悲しいことに時にそれが悪質な考えを持った人に利用されてしまうことは十分にありえます。そうならないように、適切に‘疑う’スキルを身に付けることを目指しましょう。

そのために、最低限のいくつかのルールを伝えておく必要があります。道端で突然声をかけてくるような知らない人の話には乗らない、連帯保証人には絶対にならない、というようなことです。困っている人を見過ごせない、という気持ちから騙されてしまうことがないよう、そういったもののリスクや周囲に与える影響まできちんと説明をしましょう。

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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