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発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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神奈川県横浜市 「星槎中学校・星槎高等学校」| 発達障害に理解のある学校 インタビュー特集 vol.003

発達障害の特性がある子どもたちが過ごしやすいよう、随所に施された合理的配慮

 校舎に入ったときに靴箱の張り紙にすべてフリガナがふってあり驚きました。そういった合理的配慮が当たり前のように行われている空間だという印象をもったのですが、いかがでしょうか?

蓮田先生 そうですね。授業のプリントにもすべてフリガナを振るようにしています。学年があがり、それが必要でなくなればフリガナは外していきます。何でもかんでも配慮すればいい、というわけではありませんからね。合理的配慮というのは個別のニーズに基づいているというのが重要なので。

 その他にも、具体的に配慮されていることなどはありますか?

蓮田先生 授業では、まず教科書がありません。教科書なんて配られたら、勉強嫌いの生徒たちはそれだけで嫌になっちゃうでしょ?逆に学習のレベルの高い生徒は教科書ベースで進めるのは物足りないんです。

そのため、毎回授業の最初にその日取り組む分のワークシートを配っています。

ワークシートの記載は、本当に大切なことを中心に、必要最小限にしています。ノートなどもありません。忘れちゃう子が多いですから。日々の準備に疲れてしまったり、ノートや教科書がなくて最初の5分10分を無駄にしてしまうなんてナンセンスでしょ?必要なものはその場で配る。その一瞬に最大限集中してもらえればいいと思っています。

個別の配慮としては、読み書きが苦手なお子さんにはプリントの拡大等をしています。あとは記述の欄を大きくするなど。また、テストでは書字が難しいお子さんには記述ではなく語群を作って選択するように作成したものを用意しています。ただ、今のところ読み上げは対応していません。

 テストの内容も個別に対応しているということなんですね。

蓮田先生 はい。後は貼り紙(声のボリューム表や話し掛け方など)も欠かせないですよね。ルールを明瞭化、視覚化するというのは当たり前のように実践しています。でもできれば貼り紙に頼るのではなく、ジェスチャーや視線など言語外の合図で気が付けるような練習もしています。彼らもいずれは社会にでて、その先では必ずしもこういった配慮を得られるわけではないのでね。生徒たち自身の適応力を高めるということも大切だと考えています。

あとは、それからクラス分けについても、個々の能力でわけています。例えば体育とか。たくさん運動したい子たちは午後に体育をしていますね。午前中にやると、午後寝ちゃうんですよ(笑)

それから、座席の配置も教員が決めています。周囲が気になってしまう子は教員が声をかけやすい教卓の前、不安が強い子は後ろの席にしようとか、表出しすぎるタイプの子たちが2人並ばないようにしよう、とか。常に学校生活を過ごしやすくするよう、このあたりはしっかりと調整しています。彼らが席を自由に選べるのは修学旅行のときだけです。

 そこまで考えてらっしゃる学校は始めて聞きました。座席は一年間同じなのでしょうか?

蓮田先生 いえいえ、常に人間関係は変わるので、席替えはします。あの子とあの子が少し仲が悪いから離そう、とか。ただその時も席はこちらで決めてしまうので、私が担任の時は予め「先生は気分で席を変えたくなってしまうんだ。」と生徒に伝えるようにしていました。そうすることで生徒同士で仲が悪いから席替えをするのではなく、「先生のせいだ。」と思ってくれるので。先生を悪者にしてくれればいいんです(笑)生徒たちには色々な体験が必要だとは思っていますが、ここに来る子どもたちはすごく繊細な子が多いので。過干渉と思われるかもしれませんが、学校という空間が彼らにとって安心できる場所であるために、無用なトラブルを起こさないための事前対策というのはしっかり固めています。何かあって学校に来られなくなってからでは遅いですからね。

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