発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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滝医院 小児科 滝ゆうこ先生インタビュー

ティーンズ御茶ノ水 2025年5月27日

医療機関でのコミュニケーションのコツ

―― 医療機関で診察を受けるときコツを教えてください。

滝先生 限られた診察時間の中で、医師に的確に情報を伝えるためには、事前に伝えたいことを整理しておくことが重要です。
例えば、いつから、どのような症状が現れているのか、日常生活で困っていることは何かなどをメモしておくと良いでしょう。
私は療育センターで受けた検査結果や学校からの情報もご持参いただくようにしています。
あわせて、質問したいことをリストアップしておくと、聞き忘れを防ぐことができます。
診察後には、医師からの指示やアドバイスをメモしておき、後で振り返れるようにしておくことも大切です。

―― 先生が 神経発達症のお子さんを診療する際に、特に心がけていることを教えてください。神経発達症のお子さんは、コミュニケーションが難しい場合や環境の変化に敏感な場合など、やりとりが難しいイメージがあります。

滝先生 それが日常なので意識していませんでしたが、まずはお子さん自身が安心して診察を受けられるように、できるだけ落ち着ける環境づくりを心がけています。診療室に入りづらいお子さんはソファーではじめにお話うようにしたり、保健所などでは白衣を着ていませんね。4~5歳以上の患者様の場合は、お子さんと保護者の方を分けて診療室に入れて、お子さんだけと話す時間を持つようにしています。

いろいろな困りごとへの対応

―― どのような困りごとが多いか調べたところ、「子どもの強い音や繰り返しの叫び声」「予測できない突発的な行動」「こだわりの強さによる日常生活の困難」「感情の起伏が激しく対応が難しい場面」「コミュニケーションの取りづらさ」「日常生活での援助の必要性」「二次障害の発生とその対応」「学校生活での適応の困難さ」「社会的スキルの習得の遅れ」「将来の自立に関する不安」などが挙がってきました。いろいろな困りごとへの対応のコツなどあれば教えてください。

滝先生 複数の困りごと、全ていっぺんに解決することは難しいです。
このように10個あるとしたら、例えば、「ここ半年くらいで改善したいこと」「3年から5年くらいで改善したいこと」「ある意味あきらめる、受け入れる、もう少し先に考えて行くべきこと」の3つに分けて、解決していくことを提案しています。
そして、その困りごとは半年・1年でアップデートされるものなので、療育施設の先生や通級の先生などと、半年おきに、「これは解決したね」「新しく●●が問題になってきたね」「次の課題はこれだね」ということを確認し合うことが重要です。
問題行動の結果だけ、例えば「癇癪を収める方法」を教えるのではなく、その一つ前の原因、そのまた一つ前の原因を対策してゆく必要があります。「こだわりは、人を巻き込まず、自分で完結する形に換えていく。」ということも伝えています。

神経発達症のお子さんを持つ親御さんへ

―― 最後に、神経発達症のお子さんを持つ親御さんへメッセージをお願いします。

滝先生 私は、医学的な「診断」は必ずしも重要では無いと考えています。
お子さんの特性を理解するためには、良く観察し、長所、短所、問題行動のきっかけ、課題は何か、どういう関わり方をしたら上手く行くのかなどを把握することの方が重要だと考えています。そのような客観的な状況を知るために、保育園や学校、療育施設の先生と共有する事も重要です。
最終的には、お子さん自身に自分の特性を理解して社会に出てゆける人に育ってもらうのです。そのためには、まず保護者の方が「お子さんの特性、長所、短所、どのように対処していったら良いのか」を、指導者(学校の先生、学童や習い事の先生など)にあたる方に伝えらえる状況になる必要があります。最近は担任以外に、専科の先生を導入している小学校も増えてきていて、担任は特性を理解して上手く対応してくれるけど、専科の授業では配慮や支援が行き届かず不適応を起こすお子さんがちらほらいらっしゃいます。
現在の医療でできることは限られています。MRIなどの検査ですべてがわかるわけではありませんし、薬物療法が有効とされる症状も限られています。検査や投薬、書類作成など、分岐点に立った時にはぜひご相談ください。

ありがとうございました!

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