TEENS御茶ノ水の薮崎です。
今年の受験シーズンも終盤。TEENS各拠点でも受験に向けてお子さんと一緒に対策を行いました。今回は推薦入試で合格を決めたA君の受験対策についてです。
<<TEENS受験体験記 2018>>
第1弾発達障害*と大学受験~周囲はどんなサポートをするべきか?~
A君が受験対策を始めたのは昨年5月。実際の試験時間に合わせて50分間で400字の作文を書く練習を始めると、二つの課題が見えてきました。
一つ目は、400字に達しないこと。15分で200字程度書くと、そこで手が止まってしまいました。
二つ目は、姿勢保持ができないこと。200字書き終わってからの残りの35分間、椅子に浅く座り体重を前にかけることで椅子をガタガタさせてしまったり、ストレッチという名目で後ろを向いてしまったり…周囲に迷惑がかかる行為やカンニングとみなされかねない行動が見受けられました。
ご本人が書いた作文を読むと具体例を膨らませることが出来ないゆえに文章が短くなってしまっていることがわかりました。そこで、具体例を複数上げるために「誰と」「どこで」「何をした」の3つのポイントでテーマにふさわしい出来事を考えるトレーニングを行いました。
ポイントを3つに絞ることで、ご本人が自分の体験談を短い文章にまとめられる点が利点です。
最初はスタッフと話しながら、テーマに沿ってシートを埋めました。例えばテーマが「協力」であれば、
のように、3つの具体例を挙げていきます。
その後、改めてシートを見ずに3つの具体例を含めた作文を書く練習を50分間で行いました。2度目は、シートを使ったことで具体例として何をいくつ書けばよいのかがはっきりしており、400字程度に達した文章を書き上げることが出来ます。その点が「自分にも400字の作文が書けるんだ」と自信につながりました。
シート自体は次第にスタッフと話さずともひとりで埋めることが出来るようになり、最終的にはシートを用いらずとも「誰と」「どこで」「なにをした」を含んだ具体例を2~3つ程度自分自身で作文に書けるまでになりました。
姿勢保持について、まずは自分がどのような姿勢で試験を受けているのかご本人に知ってもらうために、ご本人の許可を取ったうえで動画を撮影し、見ていただきました。その上で、試験官の評価ポイントをお伝えし、今の姿勢だと評価が下がってしまうことを話しました。合格したい気持ちの強いお子さんだったため「それは困る」と感じ「直したい」という気持ちが芽生え、姿勢に関しても改善に向けて取り組むこととなりました。
姿勢保持については、下記のシートを用いながら
この3つを繰り返し行いました。
目標を立てる際は「椅子をガタガタさせない」のように「~しない」ではなく、「椅子をガタガタさせないために、深く座る」のように、「何をしたらよいのか」を具体的に明記することを心がけました。
上記の取り組みを半年ほど続け、迎えた2月の推薦入試。倍率は約3倍と高めだったため推薦で合格は難しいと思っていましたが……
結果は合格!!
合格後は気が緩んでまた姿勢が崩れ気味ですが、引き続き入試で押さえたポイントをお伝えし、定着を図っていきたいと思います。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます