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TEENSでの療育効果 二次障害発生率に5倍の差!2019年1月号

  1. TEENSでの療育効果 二次障害発生率に5倍の差!
  2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 「デジタルセラピー元年」他
  3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 「書字や計算のスピードを上げるには?」他
  4. TEENSの一ヶ月を振り返る 「2019年採用 発達障害支援インターン採用説明会を開催 心理・教育・社会学系の大学院生・大学生歓迎」他

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スタッフブログ 現場目線で発信しています。また当社著作本、好評発売中です。

1. TEENSでの療育効果 二次障害発生率に5倍の差!

昨年末、「TEENSは発達障害*の子どもたちの就労準備性の発達に寄与するか」という視点でアンケート調査を行った結果を発表しました。

詳細はこちら

結果としては…
☑ TEENS卒業生と、療育経験のない発達障害方の二次障害発生の割合には5倍の差が
☑ TEENS卒業生が選んだ職種には偏りが少なく、選択の幅が広い

いわゆる”軽度”の障害への支援の是非が問われる中、知的障害のない発達障害のある子どもたちへの公的な支援の重要性・必要性を考えていきたいと思います。

2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 「デジタルセラピー元年」他

このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『自閉症 フィッシング詐欺に弱いわけではない』、『デジタルセラピー元年』の2本です。

①自閉症 フィッシング詐欺に弱いわけではない (UOA)

Autistic individuals are less vulnerable to cyber phishing attacks than others (University of Alabama at Birmingham)

米・アラバマ大学の研究です。調査範囲は数十人と小さいものながら、自閉スペクトラム症の人たちがフィッシング詐欺(詐欺手口の一つで偽装したメールなどでクレジットカードなどの個人情報を奪う行為)に引っかかりやすいわけではないという調査です。

もともと調査のきっかけとしては、自閉スペクトラム症の人は騙されやすいという仮説のもと、現代の生活でどのような影響があるかだったとのこと。しかし実際は自閉スペクトラム症ゆえの事実を見極めようという力から虚偽のサイトを見破れたとのことです。

実験方法によっては違う結果になったのではないかと思われますが、記事ではどのような環境でテストをしたのかは記述されていません。研究と言うと発達障害の原因など実生活にはすぐには役に立ちづらいものが多いのですが、今回のように日々の判断に近い研究が進むのは良いことだと思います。

②デジタルセラピー元年

6.4 Million Children in the U.S. Have ADHD. This Company Wants Doctors to Treat Them With Video Games (Inc.)

このコラムでも何度もお伝えしてきた「Akili」というADHD治療のためのテレビゲームについて。いよいよ2019年にマーケットに導入されそうです。

「Digital therapeutics delivers real treatment to patients through phones and tablets. At Akili Interactive, medicine comes in the form of a game.」という副題でも分かる通り、スマホやタブレットを通じて本質的な治療が行われる。特にAkiliではゲームという形を通じた”薬”という建付けです。実際、日本の功労賞に当たる公的機関のお墨付きを得て販売されることを目指しています。

このため、ゲームの通常の価格(日本円では数千円がせいぜいの価格でしょうか)で売り出すべきか、薬のように何万円、何十万円、ばあいによっては何百万円の価格設定をするべきかが議論されています。またもしゲームが数千円で販売され、一方でこれまでの製薬会社が提供する治療薬が例えば1年使って数万円、数十万円もかかるのであれば、そもそも製薬業界が自身がデジタルセラピーに乗り出すべきなのか、という視点も提示されています。

実際Akiliには、複数の製薬会社がパートナーとして参画しています。今後ADHDなど発達障害に限らず、認知症なども含めて広く「認知」に関わる症状にデジタルセラピーが広がる可能性を当社も認識しています。例えば、TEENSでは、若年層の引きこもり対策として、「eスポーツ」(パソコンやタブレット・スマホを含めたゲーム機を使って行うスポーツ競技)をすでに導入し、イベントも昨年体育の日に開催しています。

【参考】目指せアジア大会!?マインクラフトを使ったeスポーツ大会を開催 放課後等デイサービスTEENS 祝日イベントを開催

日本でも世界でも「デジタルセラピー元年」となりそうな2019年。当社も新しい可能性を探して様々なイベントやサービスを展開する予定です。ぜひお楽しみに。

3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 「書字や計算のスピードを上げるには?」他

ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。

支援級へ進学する不安

Q1. 今度小学校入学予定の息子が、.就学前健康診断でひっかかり、支援級をすすめられました。自閉傾向はあるものの知的に障害はないため通常級を希望しましたが、学校側との話し合いの末最終的には支援級へ行くことに…。息子の将来の可能性をつぶしてしまったのではないかと、とても不安です。

A. 支援級、確かに多数派が選ぶものではないのでご不安になるのもよくわかります。ただ、通常級を選んだほうが将来の選択肢が広がるか、逆に支援級などの特別支援のある環境を選んだ時に選択肢が狭まるかというと、必ずしもそうでもないです。

トップニュースにも掲載した通り、昨年末にTEENSが行ったアンケート調査によると、療育経験者と非療育経験者の間で、二次障害発生の割合におよそ5倍の差がでる、という結果が出ました。発達障害の子どもたちが将来にわたって健康的な自尊心を育んでいくためには、ご本人の特性に対して理解がある環境を選択できるか、ということが不可欠であるというのは間違いないでしょう。

もちろん、お子様にとって通常級が合うのか、特別支援級が合うのかはこちらのメールだけではなんとも判断ができません。専門家の判断はひとつの大きな拠り所ではありますが、当然万能でも完璧でもありません。

ただ、ご本人の言動を多角的に捉えた上で、話し合いを重ねて出した結論だと思います。まずはその決断を信じて、お子様にとっての学校生活のスタートが良いものになるよう前向きに準備していかれることをおすすめします。入学後に必要に応じて支援級から通常級に移籍することも(そしてその逆も)可能です。一度決めてしまったら取り返しがつかないというものでもありませんし、未来のことはわからないのでまずは今のご本人にとってベストな環境を作っていきましょう。

ちなみに、TEENSでもIQとしは120を超えながら特別支援学級に在籍しているお子さんも普通にいます。得意な教科はマニアックな次元までプリントを解き進めたり、苦手な教科は個別対応を受けたり、体育や給食は交流級で楽しんだり、不安な時は個室に行ったり…と、ご本人曰く「おいしい所どり」で快適に過ごされているようです。個別対応のしやすさが支援級の強みです。全力で活かしちゃいましょう。

書字や計算のスピードを上げるには?

Q2. 学習障害*のある中学2年生の子どもがいます。書字や計算にすごく時間がかかるため、毎日宿題を終わらせるために深夜まで泣きながら頑張っています。書字や計算のスピードを上げるには、どうすればよいでしょうか?

A.結論から言うと、書字や計算のスピードを上げるのを目指すのではなく、課題量を本人にあう量に減らしたり、取り組み方を検討したほうがよいと思います。あと夜は寝た方がいいです。

支援の在り方として、「治療教育アプローチ」と「機能代替アプローチ」があります。

治療教育的アプローチとは、例えば不器用で書字が苦手な子に、鉛筆の持ち方や力の入れ加減を指導したりするような、障害の原因そのものに働きかけていくような方法を指します。本人の成長や変化が期待できる、特に低年齢の子の場合には専門家によるこういった指導を行えると良いでしょう。

機能代替アプローチとは、いくら練習をしても機能障害によって上達に限界がある子に対して、能力を補完するような働きかけのことをいいます。例えば書字の苦手さがあるならばタイピング機能の、読字に困難があれば文字の読み上げ機能の活用が考えられるでしょう。

今回ご相談いただいた例でいえば、後者の機能代替アプローチを強くおすすめします。その宿題で、問われているのは何でしょうか?作文でしたら、文字を書くことではなく考えをまとめて表現することでしょう。タイピングを使っても十分実力を試すことができそうです。数学的思考力をみたいのであれば、計算自体は電卓を使えばいいのです。学習の本質を見誤った取り組みになっていないか、ご本人・保護者だけでなく先生を含め今一度ご検討いただきたいところです。機能代替アプローチによるサポートを受けていた、という実績は受験時に時間延長・問題代読などの合理的配慮を受けるためにも必要となります。

また、精神的な健康のためにも肉体的な健康のためにも、終わりの見えない苦手と過剰に向き合うような取り組みは避けた方が良いでしょう。日常的に泣きながら深夜まで勉強されている状態はあまりに心配です。発達障害の子どもたちは真面目で無理をしがちです。自分の心や体の健康を優先する、という意識を教えてあげてください。

*学習障害は現在、DSM-5では限局性学習症/Specific Learning Disability、ICD-11では発達性学習症/Developmental Learning Disorderと言われます

4. TEENSの一ヶ月を振り返る 「2019年採用 発達障害支援インターン採用説明会を開催 心理・教育・社会学系の大学院生・大学生歓迎」他

この1か月のTEENSのイベントやニュースをまとめてご報告します。

【2019年1月】TEENS本八幡オープン! | 無料の体験セッションを随時受付中 放課後等デイサービスTEENS本八幡を千葉県市川市に19年1月に開所予定!次回利用説明会は1/26 (土) 16:30~18:00です

■2018年12月27日 【発達障害専門 放課後等デイサービスTEENS】支援者向け見学会を開催 1月17日 (木)15:30-17:00 @TEENS川崎

2019年採用 発達障害支援インターン採用説明会を開催 心理・教育・社会学系の大学院生・大学生歓迎
2019年1月12日(土)10:00~12:00@Kaien秋葉原サテライト・ガクプロ本部
2019年2月 9日(土)10:00~12:00@Kaien秋葉原サテライト・ガクプロ本部

■2018年12月29日 【社会的価値評価レポート】二次障害発生率に5倍の差!子どもの発達障害 支援の社会的価値は?

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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