発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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本人が困っているとき 周囲は見守るべきか、関わるべきか2017年1月号

  1. 採用説明会を開催 発達障害の「強み」を生かすインターン! (三鷹・御茶ノ水勤務可の方を歓迎します)
  2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 『生後18か月から使える自閉スペクトラム症のスマホアプリ』他
  3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 『本人が困っているとき 周囲は見守るべきか、関わるべきか』他

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1. 採用説明会を開催 発達障害*の「強み」を生かすインターン! (三鷹・御茶ノ水勤務可の方を歓迎します)

 TEENSのインターンは、発達に凸凹のあるお子様の学習支援や生活支援に入るだけではなく、お仕事体験での上司役や、プログラム作成、営業など、個々の興味・能力に応じてビジネスと福祉の両方の最前線を体験できる、要求度の高いインターンです。お客様を「満足」させるだけではなく、「感動」レベルまで高めることを目指す学生を募集しています。特に三鷹・御茶ノ水拠点で働ける方を歓迎します。

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2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 『生後18か月から使える自閉スペクトラム症のスマホアプリ』他

 このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①生後18か月から使える自閉スペクトラム症のスマホアプリ』、『②12歳以下の自殺原因 ADDがうつを上回る』の2本です。

①生後18か月から使える自閉スペクトラム症のスマホアプリ

This app can spot signs of autism in children as young as 18 months old

 米国の名門デューク大学で進められているスマホアプリが記事になっています。医学関係者にアップル社が提供している ResearchKit を使ったアプリです。子どもにスマホで”刺激”を与え、表情などをカメラで認識し、子どもの自閉スペクトラム症の傾向を分析します。最も早い場合は生後18か月から使えるとのことです。

 残念ながら日本のアプリストアではダウンロードできず、今のところアメリカのみで研究に参加できるようですが、今後同じような試みが世界的に進むと思います。廉価に迅速にご家族の不安を解消し、ご本人にとっても生きやすい支援が早期にとれるようになる可能性が高まることが期待されます。

②12歳以下の自殺原因 ADDがうつを上回る

More Child Suicides Are Linked to A.D.D. Than Depression, Study Suggests

 ニューヨーク・タイムズにアメリカの4年制大学における自閉スペクトラム症のある人向け支援プログラムの生き生きとしたレポート記事が掲載されていましたのでご紹介します。

 数か月前の記事ですがウェブ上での引用・反応が多くここでも取り上げたいと思います。米国での研究です数が少ないことから研究されることの少なかった12歳以下の子どもの自殺について調べたところ、うつではなくADHD(多動性がある場合のADHDも含む)のほうが関連があることが分かったということです。

  ADDの特徴として衝動的に行動してしまうことが自殺につながると考えられるという仮説を記事では紹介していますが、一方で今回のたった一つの研究からでは何も結論付けることはできないという意見も記載されています。実際、白人の子どもの自殺率は下がっている一方で、低所得や恵まれない地域に住むことが圧倒的に多い黒人の子どもの自殺は増えており、ADDやうつといった医学的な要因以外のものが大きな原因を占めていることがまず疑われるべきことのようです。

  米国では子どもの医療費の増加が話題になりつつあります。実は最大の要因は新生児に関するものとのことですが、二番目の理由がADHDの治療の急増という記事にも出くわしました。日本でも医療費や障害福祉の予算について今後費用対効果を求める意見が強まると思います。(実際このニュースレターを下書き中に、障害児放課後等デイサービスの設置要件が厳格化されるという話題が報道されていて、日本でもまったなしの状況です。)

Health Care Spending for U.S. Kids Jumped 56 Percent in Less Than 20 Years

  ①の記事とも関係しますが、早期の治療や支援が将来の個人や地域社会にどう還元されるのかという視点の議論に、専門家だけに任せず、当事者・家族・支援者が参加していく必要があると感じています。

3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 『本人が困っているとき 周囲は見守るべきか、関わるべきか』他

 ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。

発達障害の傾向のある子が将来働くためには?

Q1. 小学4年自閉症スペクトラム障害の男児がいます。将来就労して自立を目指して欲しいと考えております。今、何を大事にするのが良いのか、何を教えなくてはいけないのか、悩みます。TEENSでは、就労を目指すにあたり、何を一番大切にしていらっしゃいますか。

A. TEENSでは「質問・相談力」、「段取り力」、「自尊心」の3つをはたらく力と定義しています。いずれも発達障害のあるお子さんが苦手とするところですが、仕事をするうえで必須ともいえる要素です。ただし小学4年生ということなので、大きな課題がなければ、まずは日々楽しく過ごせれば良いのではないかなと思います。3つの力の中で自尊心をはぐくむためには、まずご家庭で特に親御様が不安なく子どもに接してあげるのがとても重要だからです。TEENSにつながる親御様ほど我が子のことを思って動かれていますが、あまり過度になると不安が子どもに伝わってしまう可能性もあります。まずはご自身が落ち着いて愛情をもって接するところを大事にした上で、ご本人が希望し楽しさが増すのであれば、当社など(発達障害のある子向けのキャリア教育をしているところ)を上手に頼っていただきたいと思います。

ポジティブに、現実的に

Q2. 現在高1の子の母です。理解があるようで、本音では事なかれ主義で面倒なことは避けたい学校。本に書いてある(医者でなくても知っている)ありきたりのアドバイスしかもらえない医療機関に頼らざるをえない中、ポジティブにそして現実的に発達障がい者の未来を考えて発信してくださる御社を知って、とても心強い気持ちでいます。

A. メッセージありがとうございます。ポジティブに、現実的に、というのは本当にそうだと思います。当社は放課後等デイサービスなのでお子様の一部分の時間しか接することができません。学校は日々何時間も子どもの様子を見られますが、当社の場合は1週間で1,2時間という場合が多いです。一方で5年10年と学校よりも長い期間接することができる良さもあります。薄く長い支援だからこそそのお子様を理解できるので、現実的でありながら可能性を広げられる応援することができるのかもしれませんし、そうしないといけないと思っています。

本人が困っているとき 周囲は見守るべきか、関わるべきか

Q3. ADHD、中学生女子です。学習において、WISCで知覚推理が低く出ていますが、本人の困り感は何ヵ月何年かして「実はあれわからなかったんだよね」と言ってくるので、適切な時期での援助ができません。困っているときは、本人なりに対処していると見守りで良いのか、親が積極的に学習に関わった方が良いのか悩みます。

A. 知能検査は絶対正しいわけではなく、人間の能力の一面しかとらえられないと思います。が、確かに知覚推理が低いというのはある程度の傾向が読み取れます。それは総合的な理解や判断が苦手であり、それによって今いったい自分が困っているのかどうか分析することが難しく、振り返った時にようやく気付くという感じであろうということです。何事もバランスだとは思いますが、今回もある程度親が介入しながら、本人が気づいてもよさそうなちょっと先のことを伝えて、次回以降の学びになるように粘り強く接するのが良いのではないでしょうか。

悪気がなく、自覚がない 高校3年生の進学

Q4. 現在高校3年生で、昨年9月にWISC Ⅳを受け、ADD傾向と医師から言われ、集中するため薬を処方されて一年たちました。学習面では本人の希望で塾等へは行っておりませんでしたが、成績は下がる一方になってしまいました。社交性はあり、会話も普通にできますし取り立てて悪く目立つ行動はないのですが、先生との面談に行かなかったり、当然こちらから報告に行くべきことを言われるまでしなかったり、何度注意されても言い聞かせても悪気がなく、自覚がない感じです。感情が通じないと感じることが時々あります。(自分のせいなのは分かっているのですが)忘れ物や提出物を出さない等たぶん過去の経験から、先生や目上の人が苦手でなるべく避けていたが、さすがにこれではまずいと思うと言い始めました。進学希望ですが、4年制大学志望から専門学校に変えようとしています。本人が納得して真面目に取り組むなら良いとは思っています。母親の私も、小学生の頃からさんざん叱ってしまい、申し訳なかったと思っています。自尊心もとても低いようで、これから様々な立場の人と社会できちんとやっていけるかとても心配です。このようなタイプの子がそちらで人間関係や勉強の仕方を学ぶのは可能でしょうか。また年齢的にそちらで相応でしょうか。

A. なるほど。『本人が納得して真面目に取り組むなら良いとは思っています』というのはやや期待しすぎの面があるかもしれません。違う言い方をすると、これまでも本人は手を抜いていたわけではなく、全力で頑張っても成績は下がるし、モノを忘れたり、報告を忘れたりしている、つまり障害特性が出ているのだと思います。今後進学するのが大学であれ専門学校であれ、これまでと同じように、ご本人が一生懸命集中しようとしても、特性上、先送り癖が出たり、段取りに抜け漏れが起きたりすると思います。つまりまじめに取り組んでも変わらない部分が多い可能性が高いですので、ご家族としては常に大目に見ながらスモールステップでの成長をほめてあげる必要がありそうです。このような方は留年もあるかもしれませんし、中退もするかもしれません。でもその中でゆっくり学んでいっていいよという雰囲気をご家族が作れるかが大きいと思います。そしてそのスピードの成長でそれなりに人生何とかなっているものです。なによりご自身が今精いっぱいということを信じてあげるのがとても重要だと思います。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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