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【発達障害×サッカー】配慮があれば、できること/感覚過敏のお子さんものびのびと/えがお共創プロジェクト/J1・川崎フロンターレ

2021年12月9日

Jリーグ2021での優勝が記憶に新しいJ1サッカークラブの川崎フロンターレ。ここ5年で4回の優勝と他の追随を許さない強さを見せています。

そんな優勝決定の熱が冷めやらぬ11月20日、ホームスタジアムの等々力陸上競技場(神奈川県川崎市)で、あるイベントが開かれました。その名も「2021えがお共創プロジェクト」、川崎フロンターレが中心となって進める発達障害のあるお子さん向けのサッカーイベントです。

今回は、同プロジェクトの当日の様子のほか、クラブの取り組みについて伺った株式会社川崎フロンターレ営業部の三浦拓真さんのお話をご紹介します。

えがお共創プロジェクトとは

「えがお共創プロジェクト」のきっかけは、2017年冬に川崎市で開催された「心のバリアフリー・シンポジウム」。参加団体のJTBやANA、富士通、同市が、発達障害のある子どもたちに何かできることはないかと連携し、同クラブに協力を求めたのが始まりでした。

同プロジェクトは2019年からの3年間で4度実施しています。初回は2019年7月にホームで開催。2回目以降はアウェーの試合に合わせて行いました。ここ最近のプロジェクトの内容は、主に試合観戦やサッカー体験、スタジアムツアーです。普段、音や光などに敏感な発達障害のお子さんがのびのび体を動かしたり、試合を観戦したり、サッカーにふれられる場を作ろうと企画されたものです。

初回は2019年7月27日の対大分トリニータ戦。2日間にわたり、センサリールーム(※)での試合観戦と選手とのサッカー交流を行いました。以降は、アウェーゲームを川崎から観戦したり、現地での応援ツアーを計画したりするなど毎年、継続して開催しています。

同クラブの三浦さんは「当クラブを合わせて5団体が集まって進めた取組。当初は、気持ち先行で、どこがどう進めるのかも分からない状況でした。それでも試行錯誤しながら、それぞれが強みを生かして、実現させることができました。3年間やってきて感じていることは、発達障害のあるお子さんは配慮さえあればいろいろなことができるということです。これからも、スタジアムに来て、サッカーをして、試合を見て、そんなことにチャレンジできる場にしたいです」と話しています。

※センサリールーム:聴覚・視覚など感覚過敏の症状がある人やその家族が安心して過ごせるように配慮された部屋のこと。大きな音や眩しい光、人混みなどが苦手な方でも落ち着いた環境でスポーツ観戦を楽しむことができる。

 今年のイベントは

11月20日(土)快晴。等々力陸上競技場に集まったのは、ホームタウンの川崎市に住む親子約50人です。入り口ではANAのパイロットとCAがお出迎え。準備運動の後に行ったサッカー体験では、クラブのコーチが登場し、ドリブル、パス、シュートなどの遊びやゲーム通して交流しました。グラウンドでは、親子で楽しんだり、コーチにどんどんチャレンジしたりするお子さんのたくさんの笑顔が。途中で泣き出すお子さんもいましたが、スタッフと一緒にベンチで休む場も確保されており、休憩をはさみながらサッカーを楽しんでいました。体験後は、普段は入れないスタジアム内の施設を見学するツアーがあり、ロッカールームや室内練習場、記者会見場などを巡りました。

昼食後はいよいよ試合観戦。この日はアウェーの対セレッソ大阪戦です。試合前にはオンラインで選手2人への質問コーナーもありました。

試合中は、リラックスできるように準備された大きなソファに寝転んで観戦したり、たくさんのおもちゃで遊んだり、そのお子さんなりの過ごし方でリラックス。同じ空間には、気持ちを落ち着かせる部屋も用意されています。観戦の合間に訪れた小学生は「疲れたから。この部屋は気持ちいいので落ち着く」と、10分ほど横になっていました。試合は得点シーンのたびに歓声が上がるなど、4-1でフロンターレが勝利。思い思いのスタイルで楽しみながら、みんなと勝利の瞬間をともしました。

参加した保護者からは「人が多いところが苦手で、周りに迷惑をかけないかを心配してきました。コロナで外出できないこともあり、何も気にせず過ごせた今日のイベントは、子どもだけでなく、私も本当に楽しかった。準備してくださった人たちに感謝したい」、また、別の保護者からは「フロンターレは市民にとってとても身近な存在。クラブがこのような取り組みをしてくれることが嬉しい。ありがたいです」という感謝の声があがりました。

インタビュー/配慮があればできる

ーこれまでどんな準備をしてきましたか。

三浦)2019年の初回は何も分からない状態からのスタートでした。何が必要かなど専門家の方にも入っていただき、ハード面、ソフト面含め、かなり準備をしました。2日の日程で、試合観戦とサッカー体験。観戦時の事だけをとっても、親子でリラックスでき、休憩もできる環境を作ろうと、ソファやおもちゃ、カームダウンスペース、張り紙に動線、人の配置などなどさまざまなことを考えながら形にしていきました。初年度は関わるみなさん初めてで、とても時間も労力がかかりました。

ー3年目を終えて。

三浦)回数を重ね、ある程度ハードの部分を整えれば、よい環境を作れるということが分かり、こちらが、あれもこれもと配慮しすぎていたところも見えてきました。昨年はイヤーマフを全員分用意しましたが、もともとお持ちのご家庭もあり、正直そこまで必要はなかったと気づきました。今回は親御さんからお伝えいただいたお子さまたちの特性を考え、特別な準備はしませんでした。また親御さんがいるということで、人員についても再考しました。必要な配慮を考えることで、よい環境を作れると感じました。また、私たち運営側の活動の理解が深まり、スムーズに準備が進んだ実感があります。
 
もう一つ。「発信すること」が大切だと感じました。やっていることを知ってもらって、発達障害・感覚過敏というワードが、見た人、聞いた人の中でひっかかったり、調べてくれたりと、行動につながることがいいなと思っています。これは有料イベントです。「こちらが何ができるか」という目線ではなく、「特別扱いはせず、でも配慮はするよ」というスタンスでやっています。将来的には、スタジアムに試合を見に来られる橋渡しになればと考えています。

ー周りからの反響は。

三浦)各方面からを大きな反響をいただいています。まずは保護者。初回に来たお子さんは今、スタジアム観戦に来られるようになりました。学校の体育の授業も出られるようになったと、お母さんから聞きました。きっかけとなったことがとても嬉しいです。このように、ここを自信をつける場にしてもらいたいです。また、去年からは、特に保護者にどのように楽しんでもらえるかを考えています。安心して子供を放せる場が親御さんにとって、とても大切だと考えています。そのため、サッカー体験では一緒にプレーしても、コーチに任せてもらってもいい状況を作ったり、観戦時にも各所にスタッフを配置したりするなど、リラックスして参加いただくことを意識しました。

ーセンサリールームは国内で初めて川崎フロンターレが採用した

三浦)はい。3年前に初めて設置しました。イングランドでは多くのクラブで様々な障害のある人に配慮された活動や施設があります。国内ではフロンターレが最初でしたが、今は徐々に広がってきています。今年は、日本サッカー協会が主体となって、W杯アジア最終予選(埼玉スタジアム)や天皇杯決勝(国立競技場)でも設置されました。配慮のある環境を通した理解が広がっていると思います。ただ、この部屋に注目するのではなく、何よりこの日を楽しんでもらいたいということを一番に考えています。今回、アウェー会場では双方のサポーターと協力して横断幕をつくったり、スタジアムの電光掲示板の文字表記をひらがなにしたりするなど、イベントを通して、人や場を通しての理解の広がりを感じます。

ーそのほか、さまざまな活動を展開しています。

三浦)クラブでは発達障害だけでなく、誰でもサッカーを「する・観る・支える」事ができるように、いろいろな障害に対しての活動をしています。今年、富士通・サポーターと協力して、スタジアム周辺のバリアフリーマップを作りました。車いすの方は車で来ることが多く、「駅から来るにはどうする?」という出発点でした。残念ながら、アンプティサッカーの選手との企画はコロナで中止になってしまいましたが、11月に段差や道幅、トイレなどを確認できるマップと動画が完成しました。また、発達障害や感覚過敏への理解を深めてもらいたいと制作した動画「感覚過敏の疑似体験・VR映像」(クラブの公式YouTubeチャンネル)は500万PVを超えました。大きな反響をいただいています。

ー来年のプロジェクトは。

三浦)初回以来になるホーム(川崎)での開催を目指したいです。試合の日程もあるので、毎年秋から冬にかけて継続できればと考えています。回数を重ねることで、共催するそれぞれの団体の連携がスムーズになり、それぞれの特長を生かした活動ができています。参加者には毎年来てくれている人もいます。やることに意味があるので、今後も継続していきたいです。

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