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受験の合理的配慮に向けて準備しよう 文字の拡大・試験時間の延長など2019年10月号

  1. 受験の合理的配慮に向けて準備しよう 文字の拡大・試験時間の延長など
  2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース ADHD 同じ学年でも誕生日で異なる診断率
  3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 発達障害の子育てに関する相談先

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1. 受験の合理的配慮に向けて準備しよう 文字の拡大・試験時間の延長など

本日、今年度のセンター試験の出願・受験上の配慮申請の締切日でした。

平成28年4月1日に施行された「障害者差別解消法」により、障害のある方が受験する際には、負担が重すぎない範囲で配慮することが国公立の学校には義務付けられています。

具体的には…

  • ASDの方…不安感の軽減ができるよう会場の下見の許可をしたり集団面接を個別面接に変更する
  • ADHDの方…集中しやすくなるように別室受験を行ったり、座席位置を配慮する
  • LDの方…試験時間の延長や問題用紙の拡大、問題文の読み上げるなどの対応をして読み書きの苦手さから理解度の測定の妨げにならないようにする

受験時に合理的配慮を求めるには、医師の診断書や個別の教育支援計画、これまで学校内で行ってきた支援の実績などの「配慮の必要性」を示した上で事前に申請をする必要があります。しかし、中には学校から必要書類の作成のサポートをもらえないケースもあります。実際、TEENSでも申請のためのお手伝いを毎年何件か行っています。

合理的配慮は障害のある子どもたちが公正な評価を受けるための大切な権利です。特に2020年度からは、マークシート式(選択式)に加え、国語と数学の一部に記述式の試験を導入するため書字に困難のある方は適切な配慮が受けられるよう準備を進めていかれるとよいでしょう。

【参考】図表でわかる!発達障害と高校受験 | 受験時の配慮とは?

2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース ADHD 同じ学年でも誕生日で異なる診断率

このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害*に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『開発目指す 大麻由来の自閉症薬』、『ADHD 同じ学年でも誕生日で異なる診断率』の2本です。

①開発目指す 大麻由来の自閉症薬

Can marijuana help treat autism symptoms? A new study aims to find out – CNN

特定のてんかん(ドラベ症候群)に対する薬として期待される大麻由来の新薬。「ハイにならない」医療用の措置がされています。開発者がドラベ症候群に似ているところも有ると今研究を進めているのが、自閉症役への応用です。

実際研究を始めるとてんかんと自閉スペクトラム症の類似性が色々と明らかになって期待が少しずつ高まっているようです。イギリスの製薬会社から海を渡ってニューヨークの病院に試薬が届けられ、研究が始まっているとのこと。

まだ光が見えない自閉スペクトラム症の症状であるイライラやこだわりなどを緩和できないかが今後期待されます。

②ADHD 同じ学年でも誕生日で異なる診断率

Youngest kids in class more apt to be diagnosed with ADHD, learning disabilities: UK study – Channel News Asia

イギリスの研究です。これまでも2・3度とご説明してきた、早生まれ、遅生まれによる、診断のされやすさ、されにくさについての記事です。今回はイギリスの4~15歳の子どもについて、3ヶ月毎に誕生日を分けて、年度始めから3ヶ月以内に生まれたグループと、年度終わりの3ヶ月間に生まれたグループを比較。知能障害やうつ、ADHDについて調査されました。

結果としていずれの診断を30%以上受けやすいことがわかり、特にADHDは36%と高い数字となりました。原因は色々と考えられると思いますが、特に低学年では落ち着きの無さが年度終わりに誕生日があるグループに多くなるのは納得感が有ります。日本でも過剰診断が話題になりますので、生まれのタイミングについても検討をしていったほうが良さそうです。

3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 発達障害の子育てに関する相談先

ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。

発達障害の子育てに関する相談先

Q1. ●大学入学後躓いている娘●既に発達障害の診断を受けている高校生の息子(不登校)二人をどう支援していけば良いか分からず途方に暮れています。私は一人親で相談する人も居ません。今までも相談はしてきましたが必ず最後は匙を投げられるような形で終わります。(学校や病院やカウンセラー、不登校支援、公的機関など沢山の所に相談。講習受講、教材や本購入)自立して社会で生きていけるようにどの様にしていけば良いでしょうか。

A. ご質問ありがとうございます。たゆまなく、全力でお子様と向き合おうと努力されているのがひしひしと感じられました。

しかし申し訳ないのですが明快なお返事が難しいですね…。というのも、発達障害の子に就学から自立まで、どういう制度を使うのか?どういう進路を選ぶのか?包括的にアドバイスできる機関というのはなかなか見つかりません(いるとしたら、それは機関というよりはプロフェッショナルな個人の技量に依るところが大きいです)

アドバイスとしては、「自立して社会で生きる」はすごく大きいゴールなので、ブレイクダウンした方が良さそうです。例えば不登校の子の場合、社会と繋がりを作る前に心理的な安全が確保されている必要があります。なのでまずご本人が前向きになれるような時間をもてることが大切ですし、心が疲れたり傷ついている場合はその前段階で「前向きさ」にこだわらずまずは安寧に過ごす時間を増やすことが大切です。

そのためには、時間がかかることを前提に、まずは保護者の方が「人として、機関として」信頼できる相談先と密にやりとりができると良さそうです。ご本人の心が動くまでの“待ち”のタイミングもどうしてもあるので、すぐに花開くようなアドバイスを常に求めるのは難しいでしょう。ですが、まずは保護者の方のその焦りに寄り添ってくれる人が頼れる相談先になると思います。

ではそんな相談はどこでできるのか?まずは発達障害者支援センターが繋がりやすいと思います。以下リンクを参考にしてみてください。

【参考】発達障害者支援センター一覧

 

今後の開所予定

Q2. 現在、単身赴任中で私は新宿に住んでいますが、子供は静岡県に住んでいます。中学2年の長男について何らかの支援が必要かと悩んでいます。

A. 今後の開所予定について。残念ながら静岡ではないのですが…来年中には首都圏に開所を予定しています。希望の声があればぜひお寄せいただきたいです。

また、首都圏以外は地域パートナーシップ制度というのを導入して、パートナー事業所にプログラムの提供をしています。現在全国で7事業所が展開中。こちらの輪も広げていきたいと思います。

【参考】Kaienパートナーシップ

 

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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