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発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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『発達障害の子のためのハローワーク』が完成2017年8月号

  1. 『発達障害の子のためのハローワーク』が完成 2017年7月出版
  2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 『感傷的ではない、心温まる自閉スペクトラム症のコメディドラマ 米国で放送開始』他
  3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 『告知のタイミング』他

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1. 『発達障害の子のためのハローワーク』が完成 2017年7月出版

当社スタッフが1年かけて執筆した新刊のご紹介です。7月に発売されました。

発達障害支援の現場から生まれた使える「お仕事ガイド」が発売されました。13歳以上のお子様とその親を主な対象に考えていますが、大人の当事者や支援者が読んでも学び多い内容になっています。例えば第1章は下記のような160の職種を紹介しながら、その業種・職種で働く発達障害*の傾向のある先輩の声や、特性に応じたこれから意識したい日常や学校での振る舞いのヒントを掲載しています。

鉄道のお仕事/物を売るお仕事/喫茶店・レストランなどのお仕事/アパレル・ファッション業界のお仕事/テレビ・ラジオのお仕事/本や雑誌をつくるお仕事/ホテル・旅行・レジャーにかかわるお仕事/人を助けるお仕事/お医者さんをサポートするお仕事/スーパー・小売店のお仕事/物をつくるお仕事/物を保管し、運ぶお仕事/建物や街をつくるお仕事/食を支えるお仕事/機械・ロボットなどにかかわるお仕事/サービスを提供するお仕事/学びをサポートするお仕事/自然や生物にかかわるお仕事/感動を生み出すお仕事/システム系のお仕事/ゲームをつくるお仕事/書類や伝票を作成するお仕事/公的な機関で働くお仕事/資格がなければできないお仕事/家でできるお仕事/その他のお仕事

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2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 『感傷的ではない、心温まる自閉スペクトラム症のコメディドラマ 米国で放送開始』他

このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①感傷的ではない、心温まる自閉スペクトラム症のコメディドラマ 米国で放送開始』、『②自転車を活かしたADHDの注意力向上術』の2本です。

①感傷的ではない、心温まる自閉スペクトラム症のコメディドラマ 米国で放送開始

Atypical Review: This Autism Comedy Warms the Heart, Minus the Schmaltz

このところ映画業界でもテレビ業界でもない、AmazonやネットフリックスなどIT系企業のドラマやドキュメンタリー制作が主要な賞を獲得するなど制作の世界で大きく目立っています。Atypical(日本語では”典型的でない”という意味)の海外ドラマもネットフリックスが制作したものです。

これまで自閉スペクトラム症の映画はどこか「お涙頂戴」的なものがありましたが、予告編を見る限り今回のAtypical は、ASDの少年の異性との関係をどこか面白おかしく等身大で捉えています。

映画やテレビですとどうしても多数派を考え一般受けを狙いがちですが、ネット配信ですとニッチに届くものが、しかも世界レベルで配信できるので、それなりの予算をかけて撮影することが出来ます。今回のものも質高く出来上がっているようです。日本語での配信開始が楽しみです。

②自転車を活かしたADHDの注意力向上術

“Kids on Bikes Outride ADHD in This Cinematic, High-Energy Ad From Goodby Silverstein

こちらはADHDの話題。ツール・ド・フランスなど世界の最高峰の自転車レースに機材を提供するSpecializedという会社の創業者が起こした財団による動画です。大学の研究者などの共同研究によると、ADHDの多動性・散漫さが自転車を通じて克服できるというような趣旨の取り組みになっています。

財団のウェブサイトにもありますが、この創業社長自体が、ADHDと診断されているとのこと。やや我田引水的な印象もなくはないですが、ADHDの人の集中力は(周囲からは不自然に動いて気が散ってしまうのではと思われるぐらいの時にこそ)高まるという研究結果もありますので、自転車競技というのは確かにフィットしそうな印象があります。

動画自体の出演もADHDの少年少女とのこと。①もそうですがアメリカは規模が大きく、こちらの財団もかなりの財力で大きなインパクトを狙っているようで今後が楽しみです。

3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 『告知のタイミング』他

ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。

告知のタイミング

Q1. 小五の時にADDと診断され、本人に伝えないまま現在に至っております。中一になり、提出物など、やっていても、出し忘れてしまったり、忘れ物も酷く、本人が自信をどんどんなくしていってるなぁと感じます。友達とのコミニュケーションはうまくいっていて、友達は多いほうだと思います。学校は楽しく通っていますが、なかなかマイペースなので、これはいつまでの宿題?と聞いても、うーん。わかんない。と言ってきます。

A. 告知を決めるにあたりまず考えるべきなのは、①本人の年齢、③本人の気づき度合い、③心の状態です。

まず①の年齢について。これについては絶対に何歳以上、何歳までに!というのはありません。TEENSに通っているこの中には小学校低学年から告知を受けている場合もありますし、高校生になっても受けていない、という場合もあります。医療行為の意思決定が尊重される基準になる15歳というのはひとつの目安になるでしょう。

次に、ご本人の気づき度合いです。これは、周囲との違いや違和感をどれくらい覚えていて、それによってどれくらい困っているかということです。この困り感が強ければ強いほど、上手に周囲にヘルプを求めるようになるために自分の困り感の根本的な原因を理解しておく必要があります。

そして、心の状態です。①、②の条件から「告知すべき」となったとしてもご本人の受け入れられる状況でなければ無理に行うのは危険です。TEENSに通われているお子さんを見ていると、告知内容をすんなり受容した、むしろ気持ちが軽くなった、よくわかっていないというパターンが多く、大きく崩れてしまうお子さんは少数派ですが、ナイーブなタイプのお子様の場合は専門家に相談しながら慎重に判断したほうがよいでしょう。

ここまでで告知をすることが決まったら、あとは④誰が、⑤どこまで、⑥どのように伝えるかを決めてください。低年齢の場合は保護者の方が行う場合が多いようですが、中高生以降になるとかかりつけの医師や心理士など第三者の専門家から落ち着いて説明を受けられるとよいでしょう。

⑤どこまで、というのは障害名まで伝えるかどうかということです。ご本人がもつ強みや弱みをお伝えするにとどめ、障害名をお伝えしないケースは多々あります。年少で障害という言葉のナイーブさを理解できておらず、むやみに周囲にいいふらしてしまうなどのリスクがあるような場合や、ご本人自身がまだ障害名までを受容するのが難しいような場合です。

最後に、⑥どのように伝えるかです。検査結果などを見せて落ち着いた場所で正確に伝える方法もありますし、日常の中で少しずつ伝えていくような方法も考えられます。これまでの①~⑤を踏まえて、ベストな形を考えてください。

長々と書いてしまいましたが、今回のケースで言うと、失敗体験での自尊心低下がみられるため、告知についても検討していく必要がありそうです。私がみてきた中での話になりますが、発達障害の告知をネガティブに受け止めているお子さんよりもポジティブ、あるいはフラットに受け止めているお子さんのほうが多いです。ご本人の魅力と、弱み、その解決の仕方について話して、一緒に考えていけるとよいかもしれません。保護者の方だけで判断するのはなかなか難しいことだと思うので、主治医などの信頼できる専門家に相談してみてください。

ユーチューバーになりたい

Q2. 本人は将来ユーチューバーになりたいと言っておりますが、ローマ字すら怪しい段階で、ただパソコンをいじるにはせめてローマ字打ちができないと無理だという話はしたのですがなかなかやる気になりません。特に国語や社会が苦手なようです。数学は幼少時から得意でしたが、問題の意味が分からずつまずいてしまうことが多々あります。

A. ユーチューバー、人気ですね。お子様の年齢が気になるところですが、数学、とあるので中高生だと仮定してお話します。

当社が7月に発売した「発達障害の子のためのハローワーク」の中でも書きましたが、子どもが夢をもっているのは発育過程の中で重要なことです。大人から見た時には現実的でない将来像だとしても、そういった理想や希望をもつこと自体が日々の活動の動機づけにつながり、ひいては子どもの自主性や自尊心を育んでいくからです。

ただ、今回のご相談内容を拝見している限り、お子様の学習への意欲の低さは、将来の夢だけでは打ち勝てない課題を抱えている可能性が大きそうです。中高生でローマ字が怪しい、国語や社会が不得意、数学は得意でも問題の意味が分からない、ということであれば言語理解への苦手さを抱えている可能性が高いです。そういった場合、ご本人の内発的モチベーションを高めるのはなかなか難しいでしょう。

将来の夢は、ご本人の気持ちを駆り立てるものであってはほしいですが、周囲が追い立てるための材料にしないよう注意する必要があります。夢は夢で持っていもらいながら、ご本人の困り感がどこからきているのかは改めて専門家に見てもらえるとよいでしょう。

 

不登校の子の居場所とスマホ依存

Q3. 小学5年の秋から不登校と登校を繰り返し、中学は不登校になってしまった中学1年の母です。勉強に対する意欲もないのですが、本人の居場所として、またわかってくれる大人との出会いを求めて、入会を希望しています。このままだと体調もますます悪くなり、スマホ依存で大変なことになるのではと心配です。助けてください。

A. TEENSでは日中の居場所を求めているお子様のために、10:30~14:00に「日中支援」と呼ばれるサービスを提供しています(わかりにくいですが、こちらも放課後等デイサービスです) 15:30以降の時間帯とは異なり、人数が少なくある程度自分のペースで過ごせるので集団生活を苦手としているお子様にもおすすめです。他プログラムよりも比較的枠が空きやすいので、一度体験セッションにご参加ください。

続いてスマホ依存について。これはTEENSにいる間だけではなかなかアプローチしづらく、悩ましい課題です。早い段階からルールを作っておくことと、スマホを触らずに充実した時間をいかに増やしていかれるか、というのが重要です。そのためにも日中の居場所確保というのは大切ですが、ただし、大人が焦った末にご本人のペースを無視して動いてしまうと、結果的にはうまくいきません。どんな場所にいたいか、どんなことをしたいか、ご本人と対話を重ねながら選択をしていってください。

【参考】平日日中の学習指導

 

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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