自分の「性」と向き合うことは、子どもたちが成長する中で必ず通る大切なことのひとつです。ただ、大人にとってもセンシティブな問題であり、それを子どもたちに伝えるのはとてもむずかしいと感じます。誰もが情報を気軽に取得できる時代だからこそ、間違った情報に気づく力も必要です。そんな問題に「みたかこどもアドボカシー」を立ち上げることで真正面から取り組んでいる鶴田さんにお話を伺いました。
三鷹市内にあるじゅうと生活サポートセンターという相談支援事業所で相談支援専門員をしています。子どもも、おとなも障害種別問わず、一人ひとりが地域で豊かな生活することを目指して支援をしています。じゅうとは2014年開所し、これまでたくさんの方と出会ってきましたが、その中で、特に早く何とかしなければならないと感じた社会課題の一つに「性」に関することがありました。
相談支援をする中で、性加害、性被害に遭う人たちを目の当たりにし、子どもの頃からの性教育の重要さを実感してきましたが、それらを継続して行うところがほぼないことも同時に知り、それならば…ということで、2023年4月に相談職、医療職などの地域の支援者仲間とともに「みたかこどもアドボカシー」を立ち上げました。
子どもの権利擁護を目的とし、ウェルビーイングの実現を目指し、その具体的な活動の一つとして、子どもたちを対象にした「包括的性教育」をほぼ毎月実施しています。
生殖のしくみや性感染症の予防だけでなく、人権、ジェンダーなども含めた「包括的性教育」を学びます。
対象の子どもたちは、障害の有無は問わず、年齢制限もありません。
お手本にしているのがユネスコなどが作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」です。そこでは対象年齢を5歳から定めており、私たちは、その5歳~8歳の子どもたちが理解できる内容で行っていますので、結果的に高校生の子たちにもわかりやすくなっています。
場所は主に三鷹市大沢にある大沢原地区公会堂ですが、三鷹市市民協働センターなどでも開催しています。ほぼ毎月開催で、1年を通して「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の8つのキーコンセプト(①人間関係 ②価値観・人権・文化・セクシュアリティ ③ジェンダーの理解 ④暴力と安全確保 ⑤健康とウェルビーイングのためのスキル ⑥人間のからだと発達 ⑦セクシュアリティと性的行動 ⑧性と生殖に関する健康)が学べるカリキュラムにしています。
年齢は、年長さんから高校生までの子たちが参加しています。通っている学校も様々で、地域の小中学校や、支援学級に在籍している子、特別支援学校、通信制高校などなど。車イスや白杖利用の子たちもいます。三鷹市以外のお子さんも参加しています。
「包括的性教育」を通してウェルビーイングを実現すること(知識をつけるだけでなく、個人の権利や自己実現が保障されることを目指します)。無料で気軽に参加でき、いつでも相談できる場のひとつであること。障害の有無で制限されないこと(合理的配慮、理解力や発達段階に合わせた教材の工夫をします)などを大切にしています。
「性」について、保護者の方と話しをしていると「子どもたちに教えたいけど、家族だと話すことすらタブーになりがち」「自分たち大人が教わっていないからどう伝えていいのかわからない」「特性があるので理解できるか不安」などの声をよく聞きます。
皆さん、大切なことだとは思っているけれど、どこから、どうやって始めればいいのか…といった感じかと思います。
私たちも、試行錯誤しながらではありますが、例えば…合理的配慮の教材として、「感情のものさし」や、「からだパーツ福笑い」「ピザトッピングでの合意形成ワーク」などを、医療職のメンバーが手作りしており、子どもたちからも好評です。
わかりやすく、楽しく「包括的性教育」について学んでいければと思っていますので、どうぞお気軽にご参加ください。
今日はありがとうございました。性教育は発達障害の有無にかかわらず、保護者だけでは対応が難しいと感じる課題の一つだと思います。この活動が少しでも多くの方に伝わるよう、ティーンズでも活動を応援しています。
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