ティーンズでは、地域とのつながりを深めるため、さまざまな支援機関と日々連携しています。
今回は、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫で児童発達支援・放課後等デイサービス「TAKUMI」を運営しているイニシアス株式会社を訪問し、ティーンズと同じく発達支援に関わる事業所として、各事業所の運営に携わる下田さんに「TAKUMI」の運動療育についてお話を伺いました。
運動に関するつまずきを経験した、またはその見込みがあるお子様が利用されています。問い合わせの多い年齢層としては、年長から小学校1・2年生が中心です。幼稚園が終わる14時頃に送迎で来所するお子様や、保育園に通う前段階で参加するお子様もいます。
初めての社会参加となるケースも少なくないため、年齢が低い場合は少人数(2人程度)からスタートし、徐々に集団活動に馴染めるように支援を行っています。
ただし、運動はあくまで一つのきっかけであり、社会とのつながりを広げるための「できる」を増やしていくことが大切だと考えています。例えば、学校の大縄跳びは大きな挑戦です。同じルールのもと集団に入ることが難しいお子様も、落ち着いた環境で練習し、動けるようになると他の遊びにも誘われる機会が増えていきます。そうした変化を受けて、保護者の方から「学校生活に対する不安が和らいだ」との声をいただくこともあります。
まずは、事前にお子様の好きなことを聞き、興味を持ちやすい活動から導入します。教室では、苦手なものに無理に取り組ませるのではなく、「運動して過ごせた経験」を増やすことを大切にしています。
魔法のような特別な方法があるわけではありませんが、苦手意識のある運動も、何かのきっかけで「やってみる?」と気軽に誘います。例えば鉄棒の後ろまわりができず、鉄棒自体に苦手意識を持ってしまったお子様には、「くぐるだけ」といった低いハードルからチャレンジできるよう工夫しています。そうすることで、少しずつ挑戦する自信を育むことができます。
学校の体育では「できないことに向き合わなければならない」場面が多いですが、私たちの教室では、運動を「楽しく過ごせるもの」として捉えられるような環境づくりを心がけています。
例えば、大きな運動の後には、細かい作業への集中力が高まる傾向があります。鉛筆の持ち方や筆圧の調整がしやすくなったり、のり付けが苦手なお子様が感覚をつかみやすくなったりと、運動を通じて生じるプラスの影響は多岐にわたります。
また、教室では創作活動のほかに、ゲームを通じたソーシャルスキルトレーニング(人との関わり方の学び)や、創作物を使った行事の開催・発表、お金の使い方の練習なども行っています。お金の使い方の練習では、「TAKUMI専用コイン」を用意し、疑似的なお買い物体験などを実施しています。
創作自体が目的ではなく、多様なツールを用いて「生活のしやすさ」を向上させる経験を積むことを重視しています。そのため準備は大変ですが、スタッフそれぞれの個性を活かしながら工夫しています。
開室当初から、座る場所やルールを明確に設定し、子どもたちが安心して取り組める環境を整えています。構造化することで、子どもたちがスムーズに活動の流れを理解しやすくなり、大人も指示や対応がしやすくなります。また、新しいスタッフにも部屋の配置やルールの意図を説明し、理解してもらうようにしています。
もともと取り組んでいましたが、コロナ禍での「距離感の取り方の練習」を通じて、さらに構造化が進みました。
スポーツは、誰もが同じルールのもとで行うものです。そのルールを理解し、受け入れてもらうことが重要です。負けたときも気持ちを切り替えることは難しいこともありますが、「次があるから頑張ろう!」と思えるような関わり方を大切にしています。
以上、イニシアス株式会社さんへのインタビューでした。
活動に興味のある方は、記事内リンクからぜひ公式ホームページをご覧ください。