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TEENS三鷹(仮)を今秋~冬にオープン予定 海外ニュース「ADHDは大人になって初めて現れることもある?」2016年6月号

  1. TEENS三鷹(仮)を今秋~冬にオープン予定
  2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 「ADHDは大人になって初めて現れることもある?」
  3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 「ワーキングメモリーが弱いってどういうこと?」

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1. TEENS三鷹(仮)を今秋~冬にオープン予定

TEENSは新宿、御茶ノ水、横浜、川崎の4か所で現在運営しています。今年の秋から冬をめどに第5拠点を三鷹に仮決定。2016年5月現在、物件の交渉を行っている最中です。オープンまで半年程度と時間がありますが、ご利用希望の方はご利用説明会や体験セッションにお越しください。

TEENS三鷹はTEENS新宿からの移籍組と新規に利用するお子さん 数十名が通う拠点になる見込みです。

TEENS三鷹はTEENS新宿からの移籍組と新規利用の数十名が通う拠点になる見込みです。

なお、ご利用説明会は三鷹以外の拠点を希望される方もご参加いただけますが、現在各拠点とも待機状態となっていますのでご了承ください。

<リンク>

2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 「ADHDは大人になって初めて現れることもある?」

このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害*に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①フォードが自閉症の人向けのトレーニングプログラムを発表』、『②ADHDは大人になって初めて現れることもある?』の2本です。

①フォードが自閉症の人向けのトレーニングプログラムを発表

Ford Announces Job Training Program For People With Autism

大人向けの話題ですが、こちらでお伝えしてしまいます。マイクロソフトやSAPなど自閉スペクトラム症の人を雇う動きは全世界的に広がってきています。今回はこれまでのIT業界を飛び越えて、自動車大手のフォードがその波に乗ってきたというニュースです。全米の各メディアで伝えられています。

OJT(実際の職場で仕事の訓練を受ける)のプログラムがタイヤテストの現場で行われ、そのOJTで成果を出せた人は通常のフォードの採用選考に進むことができるということです。ちなみにタイヤのテストは構造化されているうえ、集中力が必要で、細部へのこだわりが生きる、つまり自閉スペクトラム症にあった仕事だそうです。

発達障害と言っても広いのですが、確かに保守管理系や品質管理系の仕事は特に自閉スペクトラム症の性質とフィットしやすいですので、これを機に様々な業界に波及してほしいなと思いました。

②ADHDは大人になって初めて現れることもある?

Can ADHD Appear for the First Time in Adulthood? リンク

日本でも先月Yahoo!ニュースのトップ記事になっていたほど関心があった話題です。発達障害というのは生まれてから亡くなるまで原則続く脳の機能の障害と言われていますので、大人になって初めて特徴が表れるのはこれまでの考えを覆すのではとも思われます。実際はどうなのか?

少なくとも当社としてはこのニュースにはほとんど驚きませんでした。理由はADHDというのは血液検査などでわかるものではなく、その人が暮らす日常とのズレが大きくなった時に初めて発覚します。つまりADHDの特性を小さいころから持っていても、周囲の人の自然な配慮や、所属する組織のスピード感や構造化の度合いによって、特性がほとんど見えないこともあり得ます。見え隠れはするかもしれませんが、基本的には顕在化せず要素として潜んでいる感じです。それが大人になって環境が変わったり期待度が変わったりしたときに、急に表面化するということは十二分にあり得るからです。

実際この記事でも、大人になって診断される例というのは、小さい時に発見されなかっただけの可能性があると報じています。その理由としては、親や先生からの支援が(ADHDと気づかずとも)自然に上手にされている可能性や、高いIQによって自分である程度補正してしまえていたケースを挙げています。

ただ、ADHDは、体の多動性の減少など、年齢とともに明らかに変わる部分もあり、大人になって初めて見えてくる例も否定できないとは支援現場にいても感じます。また今回の研究によって、子どもの時に全くその兆候がないと親や本人が行ったからと言って、発達障害は即座に否定されるものではないということなのかもしれません。

3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 「ワーキングメモリーが弱いってどういうこと?」

代表取締役の鈴木です。ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にTEENSスタッフ飯島と鈴木がお答えします。

ワーキングメモリーが弱いってどういうこと?

Q1. ワーキングメモリーの低い定時制高校男子です。将来のための学習支援と就職支援を希望しています。

飯島. ワーキングメモリに弱さがある場合、例え理解力があったり言語能力が高くても学習の定着が悪くなります。例えば、勉強した直後はばっちり理解することができていたとしても、いざテストとなると思い出すことができなくなってしまうのです。学習内容の定着のためには反復して取り組む必要がありますが、成果に繋がりにくいため不全感を抱きやすくなってしまいます。

このタイプのお子さんを支援する際には、ワーキングメモリーの負荷を減らすための配慮が必要です。情報はできるだけ視覚的に示しつつ、言葉で指示を出すときにはできるだけ端的に行いましょう。

また、自分で解決していくための工夫を身に着けていく必要があります。作業手順を思い出すために、リマインダーやメモを活用する習慣づけができるとよいでしょう。最近はスマホを利用して簡単に情報を片付けておくことができるようになってきたので、高校生ということであれば是非そういったものも導入してみてください。

暗記による知識に頼らずに、課題を解決するというのも重要です。わからないことはすぐに質問する、調べるといった意識づけも併せて行っていけるとよいでしょう。

ワーキングメモリーが弱いタイプのお子さんは、実力を発揮できないフラストレーションを抱えているだけでなく、周囲からも「本当はできるのに、緊張しすぎ、ふざけている」といった誤解を受けがちです。不得意な部分だけに注目せず、就労に向けてどの強みを伸ばして自尊心を高めるか、という視点で接してあげてください。

勉強で目立つケアレスミス 生活では?

Q2. 小学6年生の男子で広汎性発達障害、ADHDと診断を受け現在ストラテラを服用中です。学習においてはケアミスが多いです。

飯島. 学習面でのケアレスミスが多い訳ですね。日常生活ではどうでしょうか?忘れ物はありませんか? 遅刻はしませんか? 宿題はだせていますか? 小学生の間は保護者の方が介入をしていて気づきにくいかもしれませんが、実は日常生活でも「うっかり」は起こりやすく、中学に上がっていざ親の手の届かない領域ができたときに困りがちです。必要な範囲をサポートをすることは大切ですが、どこまではお子様自身でとりくめてどこからができないのかというのを常に気にしながら、なるべく自立的に取り組めるよう支援をしていく必要があるでしょう。

学習時のケアレスミスの対応としては、「間違い直しの習慣をつける」というのが方法のひとつとして考えられます。発達障害のあるお子さんで、見直しを嫌う・しないお子さんはとても多いです。というのも、一度解くだけでも負荷が強いため、2回も同じ問題を見る気力がなかったり、普通に解くのと違って目視で確認をしなければいけないため不注意傾向が強い子には集中がより難しくなるからです。

まずは、間違いだと指摘する範囲を少しずつ大きくしていくようにしていってください。例えばP10の大問3の②の問題を間違えていたとしたら、最初のステップでは「②の問題に間違いがあるので、探してください」と伝え、徐々に「大問3の中に…」、「P10ページの中に…」というように指定する範囲を広げていくとよいでしょう。自主的に間違い探しができるキャパシティを大きくしていってあげることが重要です。

また、「間違い探しをする」ということ自体を目標にした問題を出すのも有効です。数問の問題とその途中式・解答を示して、「この中に間違いがあるので探してみましょう」という課題をだします。その際に、流し見るのではなくひとつひとつの数字や符号を確認していくといった手順を教えてください。自分で問題を解くという負荷がない分、「さっきやったのに」というモヤモヤした気持ちを抱えずに見直しに取り組むことができるため、ストレスが少ない状態で「間違いを直して正解にたどり着けた!」という成功体験を積むことができます。

他にも記述方法を見直したり、手順書を手元に置いてみたり、と色々な対応が考えられます。どの分野のどの「うっかり」が多いのかによって対応も変わってくるため、具体的な行動を教えていただけるとアドバイスもしやすくなります。次の機会にぜひご質問ください。

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就職・仕事への夢を抱くにはどうすればよい?

Q3. 息子は現在小学4年生。個別支援級に在籍しています。発達の凹凸に困っています。本人には、就労に対する夢・今何をやるべきかをぼんやりとでもわかってもらいたいと思っています。

飯島. 将来の夢とやるべきことの理解についてですね。小学4年生という年齢を考えると、どちらもあった方がいいかもしれませんが、なくても全くもって問題ないと思います。

発達障害の有無に関わらず、このくらいの年齢で就労という目標に対してのマイルストーンをなんとなくにでも理解するというのは、結構難しいことです。もちろん、発達障害のある子どもの場合「成長すればそのうち自然に考えられるようになる」というのが期待しにくいため、どこかで大人と一緒に方向性をすり合わせることが必要になります。しかし、タイミングとしては中高生になってからでも遅くはないでしょう。

学校の勉強でも習い事でも、将来のために必要だと認識しているというよりは、やれと言われたから・楽しいから・褒められるから、という位の感覚で取り組んでいるお子さんが大半です。就労に真っすぐ繋がっているように見えるお仕事体験でさえも、将来役に立つということを理解して取り組んでいる子どもはほとんどいないですし、私どももそれでよいと考えています。後で振り返ったときに、「ああ、あの時の経験が今役に立っているんだな」と気が付いてもらえたら十分です。

ですので、今現在は将来について考えさせるというよりも、もう少し大きくなったときのために様々な活動に取り組ませてあげてください。きっとその経験が、将来の希望や選択肢を増やしてくれるはずです。

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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